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白虎神王

Author:白虎神王

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~第10幕~
人狼の口には、槍が刺さっている
いや、刺さっているように見えていた
槍は牙で止められて、口の中までは届いていなかった

人狼が悲しい目で動かなくなったマテンローを見下ろしている
それは壊れた玩具を見るような眼差しだった

私は見たことがあった
大切な蹴鞠を取り上げられたような
その悲しい目を…
 


 
突然、深い霧に溶け込むように人狼の姿が薄くなっていく
そして何事もなかったかのように村に朝が訪れる

ダニエルとロウガが動かなくなったマテンローのもとへと駆け寄った

動かない友を起こそうとダニエルが体を揺らす
心が切れるようなロウガの叫びが天へと響く

私は自分自身に言い聞かせるようにつぶやいていた
『大丈夫… 大丈夫…』
『気を失っているだけだ…』
私の頬には悲しみの雫が伝っていた

人狼が完全に霧で見えなくなり
悲しみが支配しているその空間に大きな遠吠えが聞こえてきた
誰かに別れを告げるような そんな遠吠えが…


村へと戻ってきたが、村人のいる気配が全くない
「昨夜から村には誰もいなかった」とダニエルが皆に告げる
村人たちは夜に村を捨てて逃げ出していたようであった

私たちは何のために戦っていたのだろうか
いったいマテンローは誰のために…


鋭い爪で私たちに襲いかかる人狼
醜い心で私たちを見捨てる村人

本当に恐ろしいのはどちらなのか
答えは見つからないままであった

暑い日差しの下、陽炎が揺れていた
今の私の心のように…


… これは私に人の心がまだ残っていた頃の話である 

 
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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

ダニエル鍋 ・ 陽炎の章 | 13:36:49 | Trackback(0) | Comments(0)
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