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投稿日:2007-06-08 Fri
マテンローが小さくつぶやいた『そろそろ こっちも攻撃するぜ』
ロウガが銃を構え頷いた
ロウガは自分の身長ほどある長い銃を自在に操っている
銃声が霧の衣を切り裂いて《それ》へと襲いかかる
確かに弾は当たっているはずなのにまるで効いていないようだった
マテンローが叫ぶ
『あいつが倒れるまで何発でもくれてやれ!』
その言葉と同時に爆音のような銃声が深い霧を支配する
霧の中を戯れていた銃声が止まり、再び静寂の世界が私たちを覆った
満足気なロウガが声を発する
『これで生きてたら化け物ですよ』
マテンローが嬉しそうに笑う
『決まりだな あいつは化け物だ』
怒り狂ったような遠吠えのあと、灼熱が私たちへと再び襲いかかってくる
心の震えが止まらなかった
これが恐怖と言うものなのだろうか
込み上げてくる震えを抑えるので精一杯だった
私の体は確かにここにあるのに、その心の位置を見失っていた
そんな私の心をマテンローが呼び戻した
『何してるキュービ いつものハデな奴を頼むぜ』
私は錫杖をかかげ、術を詠唱をした
『急々如律令 奉導誓願可 不成就也』
赤い輝きが集まってくる
その赤い光を手のひらに集中させて放出した
『 煉獄 』
深い霧が震えて、その大気が燃える
しかし全く効いていないようである
熱を帯びた攻撃をしてくる事を考えると
おそらく《それ》は火属性の術には強いのであろうと思われる
ならば水属性の術で攻撃するだけである
再び錫杖をかかげ、術を詠唱をする
『急々如律令 奉導誓願可…』
完全に油断していた
術の詠唱途中を狙われていたようだ
私は両の腕を広げた構えのまま、全くの無防備である
鋭い爪が私へと襲いかかった
大きな衝撃音が霧の中に響き渡る
真っ赤な鮮血ともに…
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