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白虎神王

Author:白虎神王

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~第3幕~
木々からこぼれる朝日がとても眩しい
昨夜の騒ぎが夢だったように思える静かな森であった

奥ではダニエルがなぜか泥だらけになって深く眠っている
森を少し歩くと美しい湖を見つけた
宝石を散りばめたようにキラキラと水面が輝いている

その湖の畔に真新しい小さな墓標がたくさん立っていた
土はまだ掘り返したばかりと言った感じである
 


 
私は泥だらけのダニエルを思い出した
『暇なやつだな…』
そう呟きつつも、口元は自然と微笑んでいた


皆の元へ戻ると、とても良い香りがしてくる
ロウガが慣れた手つきで朝飯の準備をしていた
手先がとても器用で長旅には欠かせないメンバーである

マテンローとダニエルもその香りに釣られてきたのか
眠そうな顔をしながら洞穴から出てきた

マテンローは待ちきれない様子でロウガをせかしている
『おう今日も旨そうだな』

食事をしながら、私の頭にはある疑問が浮かんできた
『なぜ…』
その疑問をそのままマテンローへと問いかけた
『何故この森にいるのですか?』
マテンローは肉に夢中で私の声が聞こえていない様子である

ロウガが代わりに私の質問に答えてくれた
『この森を越えた所に村があるのですが…』
私は黙って話を聞いていた
『その村で夜な夜な人狼が現れては村人を襲うと言う噂があるのです』
マテンローはまだ気づかずに肉に喰らいついている

ダニエルが拳を固め立ち上がった
『その村人を助けに行く途中です』

二人の話を聞いて大筋は読めてきた
『きっと臆病な村人が山犬か何かを人狼だと言って騒いでいるだけなのだろう』

ようやく腹が満たされたのか、マテンローが話し出した
『キュービ お前はこの森で何をしているのだ?』
私は急な質問に言葉を詰まらせた
『私は…』

そして一瞬の沈黙のあと、こう答えた
『暇つぶしですよ』

マテンローは少し考えたあと私の背中を大きく叩いた
『そうか暇か ならば一緒に行くか』


この時、私たちは村で起きている事の重大さをまだ理解していなかった
 

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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

ダニエル鍋 ・ 陽炎の章 | 20:41:28 | Trackback(0) | Comments(0)
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